大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和35(オ)630 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人荻原貴光の上告理由論旨一ないし三について。

所論権利濫用の抗弁を排斥した原審判断は、首肯できるところであつて、所論は

独自の見解にすぎず採用できない。

同論旨四について。�

所論過大催告につき、その過大が特に著しい程度とも解されないし、「被上告人

は、上告人Aが真に支払義務ある賃料額の限度において弁済の提供をした場合に、

その受領を拒絶したであろうとも考えられない」として、所論催告を有効と解した

原判決の判断は、原判示証拠関係から首肯できるところであり、右催告の無効を前

提とする所論は採用できない。また、原審判断の信義則適用の違背をいう所論は、

独自の見解として採用できないし、その余の所論は、原審認定にそわない事実を掲

げて、原審の適法になした証拠の取捨、事案の認定を非難するものであつて上告適

法の理由とならない。�

同論旨五について。

所論は、本件解除権行使の信義誠実違背の点につき原判決に審理不尽の違法があ

るというが、右は原審において立証なく、従つて認定のなかつた事実に基づくもの

であつて採用できない。

同論旨六について。

転貸借の基本たる賃貸借契約が賃借人の賃料延滞を理由として、催告の手続を経

て解除される場合には、賃貸人は賃借人に対して催告するをもつて足り、更に転借

人に対してその支払の機会を与えなければならないものでないことは、既に当裁判

- 1 -

所の判例(昭和三五年(オ)第九六三号昭和三七年三月二九日第一小法廷判決)で

あつて、本件解除権行使につき信義則ないし衡平観念違背をいう所論は、独自の見

解として採用し難い。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!